アヒルのある日

株式会社AHIRUの社員ブログです。毎週更新!社員が自由に思いついたことを書きます。

300ydドライブへの道(#3) ~マグヌス効果って、なに?~

こんにちは!社内ゴルフコンペ優勝候補筆頭*1、いかついプログラマです。

さて、まずは前回記事では、空気抵抗によって一番飛距離が出る角度は45°ではなくなる、というお話をしました。

その時に大谷翔平選手のホームラン角度に触れたのですが、41号ホームランではなんと打球角度45°のホームランを打たれてしまいました。。。

ドウイウコッチャ…

そんなこんなで45°飛ばない説の信憑性が薄れてきてしまいましたが、めげずに今回も飛距離と角度のお話です。

球技と回転

回転は物体の運動、そして球技にとって大変重要な要素になります。 回転を用いない、考慮しないという球技はほぼ存在しないといっていいでしょう。 最もわかりやすい例はやはり野球の変化球でしょうか。 野球では、投手がボールに様々な回転をかけることで多様な変化を生み出します。 右投げの場合、反時計回りの横回転をかけることでカーブ、スライダー系の球を、時計周りの横回転を書けることでシュート、シンカー系の球を投げられます。 また、ストレートも縦回転、バックスピンのかかった変化球と考えることができます。

ではなぜ、回転をかけることでボールの軌道が変わってしまうのでしょうか。 これを説明する、マグヌス効果というものが存在します。

マグヌス効果

マグヌス効果とは、空気抵抗とボールの回転によってボールの軌道を変えるような力を発生させる効果をいいます。 図にするとこのようになります。

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例として、バックスピンのかかったボールを考えます。 バックスピンがかかったボールでは、ボールの上側では空気の流れと進んでいる方向は一致しているため、抵抗が少なくなります。 反対に、ボールの下側では空気の流れと進む方向が逆になるため、抵抗が多くなります。 これにより、ボールの上側と下側で抵抗の強さが異なり、結果的に上向きの力が発生することになります。

Unityで検証してみる

マグヌス効果は、角速度ベクトルと速度ベクトルの外積として表すことができます。 これを実装し、前回記事 と同様に10°~80°の角度で投射角を5°ずつ変えながらボールを投射してみます。 また、今回はボールにバックスピンを加えています。 f:id:ikatsui_pengin:20210902123326g:plain

バックスピンを加えると、15°と低い角度で投射したボールが最も遠くへ飛びました。 遠くへ飛ばすためには、バックスピンが非常に大事な要素であるとわかります。 また、マグヌス効果は、スピン量が多いほど強い力が発生します。 よって、回転量(角速度)のコントロールも飛距離を出すためには重要です。(スピン量が多いと吹き上がって飛ばなくなるのはこのためです。)

スポーツの常識とマグヌス効果

ゴルフでは、アゲインスト(逆風)のときは低スピンの低い弾道で飛距離を稼ぐというのが一般的に言われていると思います。 これをマグヌス効果と照らし合わせて考えてみると、逆風=マグヌス効果の図で言う空気抵抗の青い矢印が強くなると言えます。 つまり、ボールの上側と下側の抵抗の差が一層強く表れ、マグヌス効果によって発生する上向きの力が大きくなることを意味します。 よって、いつもより低い弾道、低スピンで打ち出すことが最適であるとわかります。 他にも、野球のキャッチャーフライの捕球体勢について考えます。 バックネット側に上がったキャッチャーフライはバックネット側を向いて(投手に背を向けて)捕球するように指導されます。 理由はバックネット側に上がったフライは投手側に帰ってくるような軌道を描くからと教えられますが、なぜそのような動きをするのかはマグヌス効果によって説明できます。 まず、キャッチャーフライはほぼ真上に強烈なバックスピンを伴っている打球です。 マグヌス効果を考えると、上向きに打球が進んでいるときにはバックネット側に引っ張られるような力が発生し、反対に落ちてくるときには投手側に引っ張られるような力が発生します。 よって、キャッチャーフライはちょうどアルファベットの小文字のℓのような軌道を描くのです。

まとめ

マグヌス効果は、球技において根幹を成すような重要な要素です。 ほとんどの人が直感的に理解しているこの効果ですが、原理をしっかりと理解するとより視界が広がるかもしれませんね。 それでは、また次回!

*1:まず開かれることがない